上海の秋を代表する味覚といえば「上海蟹」だ。
私たち日本人からすると、特にどうということのない蟹に見えるが、上海の人たちにとっては、この季節に一度は食べなくてはいけないものらしい。
上海に住んでいたころ、中国人の友人とレストラン街へ行き、1匹ずつ食べた。
すると友人が「これで今年もノルマが果たせた」といった意味の話をした。
上海蟹はそんな存在なのだろう。
上海蟹は日本での呼び名で、現地では「大閘蟹(ダージャーシエ)」「螃蟹(パンシエ)」あるいは上海の方言で「ドゥザッハ」と呼ばれる。
有名な産地である江蘇省の陽澄湖と太湖の上海蟹の漁が、9月23日に解禁となった。
本格的な上海蟹の季節の到来だ。
私は仕事の関係で、上海蟹とかなり深く関わった。
上海蟹の思い出は1回では書き切れないので、数回に分けてつづりたい。