私は2005年10月から2017年1月まで、11年3カ月にわたって中国で暮らした。
その間に撮影した写真を毎週月曜日に「中国写真館」と題して掲載する。
1回目は上海の路地裏。
私がライフワークだと思っていたテーマだ。
飛躍的な発展を遂げ世界有数の経済都市となった上海だが、昔ながらの生活が続いている古い街並み「老街(ラオジエ)」が所々に残っている。
そんな街の路地裏には、人と人の心が通い合った暮らしがある。
路地裏の主役は老人と子どもだ。共働きの家庭が多いせいもあるが、老人と子どもは仲がいい。日本ではなかなか見られない光景だ
この路地に入ったとき、「あっ、この人たちを撮りたいな。でも無理だろうな」と思った。それでも近くに座っていると、なんとなくカメラを向けてもいいという雰囲気になった。「路地裏での間合いの計りかたが少しうまくなったな」と感じた
私がカメラを向けると、男性と子どもがふざけ始めた。ちょっと度が過ぎたようで、このあと子どもは泣き出してしまった
写真中央の子どもは、私を見ると泣き出す。ある日、私がこそこそと近づくと、子どもが私を見つけ、突然、大声で泣き出した。周りは爆笑だった
昔懐かしいポン菓子の行商。日本ではほとんど見られなくなってしまった。このおじさんが営業を始めると、子どもたちがどこからともなく寄ってくる