天津にない「天津麺」を食す

きのうの仕事帰り、天下茶屋駅の改札に近い3軒の店のいずれかで晩めしを食べようと思って寄った。

3軒とも混んでいた。

よく行く「つるまる饂飩」はそれでも入れそうだったが、ためらっているうちに、10人近い中国人観光客がやって来て、なまりのきつい言葉をてんでにしゃべりながら入っていった。 

「こりゃだめだ。仕方ない。久しぶりに商店街に行ってみるか」と思い、駅のすぐそばの天下茶屋駅前商店街に向かった。

 

何を食べようかと考えたとき、「さっき中国の言葉を聞いたから、中華にしよう」と思い、商店街の東の端に近い「山王園」という店に入った。

注文したのは「天津麺」だった。

私はこの料理を大学生のときに初めて食べ、すぐに好きになった。

天津麺はラーメンにかに玉を載せたものだが、この店も含めかにの形跡はほとんどなく、ただの卵焼きである場合も少なくない。

それでも、ラーメンのスープを吸った卵焼きが味わい深く、普通のラーメンよりワンランク上の味になると思う。

 

大学で中国語を勉強し始めてすぐに「天津に天津麺はない」ことを知った。

同時に「広東に広東麺はない」ことも知った。

天津麺も広東麺も「中国料理」ではなく、日本人がアレンジした「中華料理」だった。

しかし、料理のルーツが何だとか、正当かどうかといった問題は、食べるときには関係ない。

うまければそれでいい。

きのうの天津麺も十分にうまかった。

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山王園の「天津麺」(550円)。ふっくらとした卵焼きと細い麺の取り合わせがなかなかだ。スープもあっさり系で、卵の風味が生かされている
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飲み物は「チュウハイトマト割」(400円)を注文。店の人に「試してみる?」と言われたので飲んでみた。うまいかどうかは微妙だが、癖になりそうな味だった
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山王園。のれんには「中華料理」、看板には「中国料理」と書かれている。そのあたりにこだわりはないようだ
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商店街はアーケードも比較的新しく、昼間はそれなりににぎわっているが、夜は営業している店も人通りも少なくなる