きのう、天神橋筋のまいどおおきに食堂で買った弁当に、赤いウインナーが入っていた。
ハンバーグやエビフライの陰に隠れて明らかに脇役だったが、私は懐かしさを感じた。
赤いウインナーは私が子どものころの弁当のスターだった。
きょう、妙に赤いウインナーが食べたくなって、南海電鉄の天下茶屋駅に近いイズミヤ天下茶屋店へ行き1袋買った。
赤いウインナーは中国で暮らしているときに食べたくなったことがある。
それはTBS系のドラマ『深夜食堂』の初回の放送を海賊版のDVDで見たときのことだ。
深夜食堂のマスターを小林薫が演じ、その店の客として松重豊が演じる暴力団幹部の竜ちゃんがやって来る。
私はそのとき初めて松重豊を知り、「こんなに組員が似合う役者がいるのか」と驚いた。
その竜ちゃんが、こう注文する。
「ウインナーあるかい。赤いウインナーだ」
それを受けてマスターが、「あるよ。タコの形で炒めてやろうか」と返す。
そして、赤いウインナーがどばっと皿に盛られて出てくるというわけだ。
それを見て無性に食べたくなった。
日本が豊かになる前の食品、文字通り前世紀の遺物のような赤いウインナーがこんなに恋しくなるなんて。
しかし、赤いウインナーは当時の中国にはなかった(と思う)。
それをきょう思う存分味わった。