いとしの「卵かけごはん」

南海電鉄岸和田駅の西口に牛丼の「なか卯」がある。
私は時々、その店で朝ごはんを食べる。
注文するのは決まって「こだわり卵朝定食」だ。
ごはん、みそ汁、のり、それに卵がついて250円はお得だろう。
当然、卵はごはんに混ぜて「卵かけごはん」にして食べる。
卵かけごはんは日本人のソウルフード1つだといっていい。
これほど手軽で栄養価の高い朝食はめったにない。
 
日本人は卵を生で食べるのを当たり前のことだと思っているが、世界的に見れば非常に珍しい食べ方だ。
15年ほど前、私は中国で働き始めたばかりで収入が少なく、日本的なものを食べることができなかった。
せめて卵かけごはんだけでも思ったが、中国の卵は熱を加えて食べることを前提にしており、生で食べるのは衛生面で論外以外の何物でもなかった。
「あ~、ここが日本なら金がなくても卵かけごはんくらい食べられるのに」と何度思ったことか。
中国では「いとしの卵かけごはん」だった。
 
シンプルそのものの卵かけごはんにも作り方がいろいろある。
私は子どものころから、卵を割ってどんぶりに入れ、しょうゆを垂らして、その上からごはんをよそって混ぜて食べていた。
東京で暮らし始めてからしばらくして先輩の家に呼ばれて泊まり、朝ごはんをごちそうになったとき、別の食べ方があるのを知った。
ごはん茶碗とは別の容器に卵を落とし、そこにしょうゆを垂らしたあと、茶碗に入れて混ぜる。
これは日本で最も一般的な卵かけごはんの作り方だろう。
また、松重豊主演のドラマ『孤独のグルメ』では別の作り方をしていた。
茶碗によそったごはんにチキンラーメンの卵ホールのようなくぼみを作り、そこに卵を落とし、ごはんも含め全体にしょうゆをかけて混ぜる。、
さらに今回、ネットで調べたところ、俳優の水谷豊が推薦する食べ方が載っていた。
最初にごはんにしょうゆをかけ回し、その上に卵の黄身だけを落として、黄身を崩しながらごはんと混ざらないようにして食べる。
これが絶品だという。
シンプルなものほど奥が深いというが、卵かけごはんもちょっとやそっとでは極められない料理なのだろう。
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なか卯の「こだわり卵朝定食」。実はみそ汁を豚汁変更にして食べることが多い。値段は330円で、これでもかなりお得だろう
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こだわり卵を割った。何がこだわりなのかを一度聞いたことがあるが、忘れてしまった
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しょうゆを垂らしてごはんに混ぜれば、いとしの「卵かけごはん」が完成する