けさ早く目が覚めて外を見たら、微妙な雲が広がっていた。
薄そうでもあり、厚そうでもあり、切れ間がありそうでもあり、なさそうでもあり…。
天気予報を見ると、朝のうちは晴れのマークがあった。
「こりゃ朝焼けを撮りに行けってことだな」と思い、あべのハルカスを見上げる高速道路の高架下へ行った。
しかし…。
東の空、いや空全体の雲が厚く、朝焼けなど望むべくもないという状況だった。
帰るに帰れず、空しくあべのハルカスを見上げ続けた。
やがて日の出の時刻になり、「引き揚げるとするか。このタイトルは『ここまで裏切られるのも珍しい』だな」と思い、機材を片付けようとした。
ところが…。
ふと南の空を見ると、雲が筋状に広がり、それが北、すなわちあべのハルカスの方に向かって少しずつ流れていた。
しばらくすると、その雲があべのハルカスの上空にかかり、面白い光景を見せてくれた。
けさのショーは染まらない空が舞台で、日の出の時刻から始まったといっていい。
幕は夜明けととともに開く、そんな朝だった。