ぶらっと天神橋筋その16 カツ丼と万博の思い出

月曜恒例の天神橋筋商店街詣で、きょうは中崎町の仕事場から歩いて商店街へ向かった。

その途中で無性に「カツ丼」が食べたくなった。

それもチェーン店ではなく、昔ながらの食堂でその店ならでは味を楽しみたかった。

 

店には心当たりがあった。

今年1月にぜんざいを食べた「菊水」という喫茶店と同じビルで、1階にある店だ。

そこは「いづみや」という名の店だった。

天神橋筋商店街のメーンストリートだから、多少はおしゃれに装っているのだろう」と思っていたが、店には昔ながらの食堂の雰囲気が色濃く残っていた。

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「いづみや」。さすがに外観に古ぼけた味わいはない

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「ショーウインドー」には昔ながらの趣がある

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店内も「食堂」そのものだ

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おとといの送別会のために用意した金で、きょうまで乗り切ろうと考えていた。ビールが税込み500円で、「きょうは酒抜きだな」と思いながら、メニューをよく見ると日本酒が税込み400円だった。所持金ぎりぎりで注文できた

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いよいよ真打ち登場。この店の「カツ丼」(税込み730円)だ。見た目からして、通常のカツ丼とは違う。一口食べてすぐにわかった。この店ではカツを煮ていない。揚げたてのトンカツの上に、タマネギを煮て卵でとじたものをかけている。トンカツのさくさく感がしっかり残っていて、これはこれで十分にうまいと思った

で、この店で思いがけず大阪万博の思い出に浸ることになった。

私は店の一番奥に座ったのだが、ふと壁を見上げると、1970年の大阪万博の記念プレートが掛かっていた。

「人類の進歩と調和」という私にとって懐かしすぎるテーマも書かれている。

断りもせず触ってみると、板に樹脂系のフィルムを貼ったものだった。

「復刻版かな」と思って店の人に聞くと、当時のものだという。

プレートは作られてから50年が経過していることになる。

 

そんな話をしているのを聞きつけて、店の奥から大将が出てきた。

聞けば私と同い年で、2人とも万博の年は小学6年だった。

大将は10回ほど会場に行ったという。

私は夏休み明けに1回行っただけだ。

 

そんな話をし出すと止まらなくなり、ほかのお客さんは半ばほったらかしになってしまった。

「岡山からですか。遠いですけど、また来てくださいよ」

「何言ってんですか。今は大阪在住ですよ。近いうちにまた来ますよ」

そんな会話をして店を出た。

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大阪万博の記念プレート。大将の先代(父)が大切に保管していたものだという。『開運!なんでも鑑定団』に出したら、いくらの鑑定額になるだろう。私は最低でも10万円はいくと思うが