私の家の近くにある岸和田天神宮は隠れた梅の名所だと思う。
境内に梅の木が点在し、花が咲く時期が微妙に異なる。
その中で私が気になっている1本の木がある。
神社の物置の脇にある木だ。
東側に物置があるだけでなく、南側にはけっこう大きな木があり、おまけに細い道路を隔てた西側には数軒の家が立っている。
日が当たる時間があるのだろうかと思うほど、生育の条件が悪い。
文字通り「日陰の身」だ。
それでも、この梅の木に花が咲き始めた。
日当たりのいい場所にある木に比べると、花はまばらで、それがこの木のけなげな姿だといえる。
昔の花街のせりふではないが、「日陰の身でも花は咲く」と梅の木が言っているようだ。