きょうは旧暦の1月15日、中国では「元宵節」という祝日だ。
年が明けてから初めての満月の日で、年越しの行事はこの日をもって終了する習わしだ。
元肖節の月をどこから見ようかと考えた。
地図を眺めているうちに、水に映る月が撮りたくなり、月の出の方角などを調べて、仁徳天皇陵に近い「御廟山古墳」に行くことにした。
この古墳は堀(内濠)がかなり広く、天気に恵まれれば、堀に浮かぶ月が見られるはずだった。
ところが、古墳に着いて東の方角を見ると、空は厚い雲に覆われていた。
「こりゃ、たぶんだめだな」と思いながら、三脚を立てた。
じっと待っていると、散歩中のお年寄りに声を掛けられて少し話をした。
「何を撮ってるんですか」
「満月です。中国ではきょうが元宵節という祝日なんです。向こうで10年ほど暮らしていたもので、この日の満月を撮りたくなりましてね」
「でも、この天気じゃ難しいでしょう」
「そうですね」
「頑張ってください」
「私の頑張りじゃどうにもならないんで、空に頑張るように言ってください」
「ははは、わかりました」
そのお年寄りが空に「頑張れ」と言ってくれたのか、その後、思わぬ幸運が訪れた。