元宵節の月を古墳から見る

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元宵節のきょうの月

きょうは旧暦の1月15日、中国では「元宵節」という祝日だ。

年が明けてから初めての満月の日で、年越しの行事はこの日をもって終了する習わしだ。

 

元肖節の月をどこから見ようかと考えた。

地図を眺めているうちに、水に映る月が撮りたくなり、月の出の方角などを調べて、仁徳天皇陵に近い「御廟山古墳」に行くことにした。

この古墳は堀(内濠)がかなり広く、天気に恵まれれば、堀に浮かぶ月が見られるはずだった。

 

ところが、古墳に着いて東の方角を見ると、空は厚い雲に覆われていた。

「こりゃ、たぶんだめだな」と思いながら、三脚を立てた。

 

じっと待っていると、散歩中のお年寄りに声を掛けられて少し話をした。

「何を撮ってるんですか」

「満月です。中国ではきょうが元宵節という祝日なんです。向こうで10年ほど暮らしていたもので、この日の満月を撮りたくなりましてね」

「でも、この天気じゃ難しいでしょう」

「そうですね」

「頑張ってください」

「私の頑張りじゃどうにもならないんで、空に頑張るように言ってください」

「ははは、わかりました」

 

そのお年寄りが空に「頑張れ」と言ってくれたのか、その後、思わぬ幸運が訪れた。

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月の出の時刻(きょうは午後4時19分)を少し過ぎたころ、御廟山古墳に着いた。東の空を見ると望みがなさそうに思えた。この古墳は全長約200メートルという大規模なものだが、近くの仁徳天皇陵があまりも大きいので、その陰に隠れた存在だといえる

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日の入り直前の夕日を浴びて、古墳と雲の一部が赤く染まった

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近くの送電鉄塔に絡むように、うっすらと虹がかかった

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雲の切れ間から月が顔を出した

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はっきりと姿を現した元宵節の月。雲が切れたのはわずか5分ほどだった。あのお年寄りは仙人だったのだろうか