『池畔』

きのうの夜、天王寺公園の池のほとりにいた猫

きのうの夕方、天王寺公園の池に架かる橋の上から、夕焼けを背景にした通天閣を狙った。

その最中に、ふと池の反対側に目をやると、白い猫がほとりにいた。

それを見て、「いい感じだな。通天閣よりこっちのほうが先なんじゃないの」と思ったが、夕焼けの変化が目まぐるしく、動くことができなかった。

 

通天閣を撮り終えたとき、同じ場所を見ると、白猫の姿はなかった。

「う~ん、仕方ないか。二兎は追えないもんな」と思いながら、白猫のいた池のほとりへ行った。

白猫は立ち去ってはいなかった。

場所を草むらの中に移し、ほとりの土の上でじっとしていた。

 

その姿を見て、日本の近代絵画の巨匠・黒田清輝の代表作『湖畔』を思い出した。

その絵を本で初めて見たとき、「なんて品のいい絵なんだ」と驚いた。

きのうの白猫はそれには及ぶべくないが、多少なりとも品のよさが感じられ、『池畔』と呼べる写真だなと思いながらカメラを向けた。

白猫はすぐにいなくなり、近くを探したら、コンクリートの階段の途中に別の猫がいた。少し前に花見をしているように見えた猫だ。この場所も「池畔」だった