いつもより2日遅れとなった天神橋筋商店街詣で。
今回から店での飲食を再開しようと思い、とっかかりとして大阪天満宮のすぐそばにあるお粥の店へ行った。
アーケード街からほんの少しはずれているが、前々から気になっていた店だ。
中国では日常的にお粥を食べる。
特に朝食はほとんど毎日お粥という人もいるくらいだ。
この店には中国のにおいが感じられた。
店に入ると、中は照明が消されていて薄暗かった。
奥に料理人とおぼしき男性がいたので、「営業していないんですか」と聞いてみた。
すると「いやいやいいですよ。でも、できるものは限られますけど」と言う。
聞けば営業は昼が中心で、食材がなくなり次第、終了となる。
しかし、客が来れば来たで、それなりの対応はする。
なんとなく大陸的だ。
その男性の日本語の発音が明らかに外国人のものなので、聞いてみた。
「中国の方ですか」
「そうです。上海出身です」
「えっ、私も上海で10年ほど暮らしていました。上海のどこですか」
「日本の総領事館の近くに家がありました」
「えっ、私もその近くにあるアパートで暮らしたことがあります」
こんなところで、上海での私と共通項を持つ中国人に出会おうとは。
やがて、上海人の料理人が作ったお粥が運ばれてきた。
そして、もう1つ驚きがあった。
それは上海人の料理人が、芸術家だったことだ。
店の2階にギャラリーがあり、彼の水墨画の作品がずらっと並んでいた。
素人でないことは、絵の素養がない私でもすぐにわかる。
「有名な画家なんじゃないですか。お名前を聞かせてくださいよ」
「いやいや、名乗るような者じゃないです」
「またゆっくり話を聞かせてください」
「いつでもどうぞ。お待ちしてますよ」
そんな会話をして店を後にした。