ぶらっと天神橋筋その29 お粥の店で驚きの連続

いつもより2日遅れとなった天神橋筋商店街詣で。

今回から店での飲食を再開しようと思い、とっかかりとして大阪天満宮のすぐそばにあるお粥の店へ行った。

アーケード街からほんの少しはずれているが、前々から気になっていた店だ。

 

中国では日常的にお粥を食べる。

特に朝食はほとんど毎日お粥という人もいるくらいだ。

この店には中国のにおいが感じられた。

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きょう行ったお粥の店。名前は「葛宝(かっぽう)」という

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この看板に吸い寄せられるようにして店の中に入ったが

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店内は薄暗かった

店に入ると、中は照明が消されていて薄暗かった。

奥に料理人とおぼしき男性がいたので、「営業していないんですか」と聞いてみた。

すると「いやいやいいですよ。でも、できるものは限られますけど」と言う。

聞けば営業は昼が中心で、食材がなくなり次第、終了となる。

しかし、客が来れば来たで、それなりの対応はする。

なんとなく大陸的だ。

 

その男性の日本語の発音が明らかに外国人のものなので、聞いてみた。

「中国の方ですか」

「そうです。上海出身です」

「えっ、私も上海で10年ほど暮らしていました。上海のどこですか」

「日本の総領事館の近くに家がありました」

「えっ、私もその近くにあるアパートで暮らしたことがあります」

こんなところで、上海での私と共通項を持つ中国人に出会おうとは。

やがて、上海人の料理人が作ったお粥が運ばれてきた。

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これが本日の「お得なお粥セット」(税込み800円)。看板にあった蒸し饅頭はなく、茶卵に変わっていた。「できるものは限られますけど」というのはそういうことか

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主役のお粥。私が「中国のお粥って、もっとシンプルなのでは」と知ったふうな口をきくと、「うちは広東料理のお粥で、いろいろな具が入ってバラエティー豊かなのが特徴ですよ」と言われた。なるほど

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脇役を務める料理。茶卵とザーサイはお粥にトッピングし、春巻はぱりぱりで柔らかいお粥との相性がいい。トマトのデザートは酸っぱさも甘さも控えめで、全体の流れに合っていた

そして、もう1つ驚きがあった。

それは上海人の料理人が、芸術家だったことだ。

店の2階にギャラリーがあり、彼の水墨画の作品がずらっと並んでいた。

素人でないことは、絵の素養がない私でもすぐにわかる。

「有名な画家なんじゃないですか。お名前を聞かせてくださいよ」

「いやいや、名乗るような者じゃないです」

「またゆっくり話を聞かせてください」

「いつでもどうぞ。お待ちしてますよ」

そんな会話をして店を後にした。