きのう、浜寺公園脇でチン電を撮ってから、南海本線の浜寺公園駅の北にある桜並木へ行った。
驚いた。
春に何度も撮影した桜並木がなくなっていたのだ。
40本余りあった桜(ソメイヨシノ)の木はすべて切り倒されていた。
去年の春、桜並木とチン電を絡めて撮ったとき、阪堺電車で運転士をしているという若者に偶然会った。
彼がこう言っていた。
「南海電鉄の線路高架事業のため、阪堺電車の線路を付け替えなければならず、この桜はこれが見納めです」
その後、電車から見たところ工事が進んでいる様子はなく、「もう1回は見られるんだろう」と思っていた。
やはり関係者の言葉にうそはなかった。
ソメイヨシノは1本の雑種の桜を人が育てて誕生した品種で、種子で繁殖することができず、今ある木は最初の1本から接ぎ木などで人工的に繁殖されたものだという。
遺伝子はすべての木が同じで、1本の木を起源とするクローンだということになる。
人の手で誕生させられ、繁殖させられ、そしてこの並木は人の手で終わらされた。
人によって命が翻弄される、それがソメイヨシノのはかない運命なのかもしれない。
美しく咲く桜並木を見られなくなったことで、妙に感傷的になった。