きのう、総本家更科でそばを食べたあと、新世界の街を歩きながら猫を探した。
なかなか見つけることができず、最も可能性の高そうなジャンジャン横丁の裏の路地へ行った。
堂々とした態度の猫がいることが多い格子戸の前に行ったところ、明かりがついておらず、猫の姿もなかった。
もうひと回りと歩き、ジャンジャン横丁に面した居酒屋に差し掛かったとき、格子戸の猫が店の脇に置かれたごみ袋をあさっているのが見えた。
その姿は「野良猫」そのもので、態度も格子戸の前とは打って変わって、びくびくしていた。
「おまえも食べるのに苦労しているんだな」と思い、しばらく見ていた。
猫は食い物を探し出すことができず、その場を離れた。
どこに行くのかと追いかけたがあっという間に見失い、格子戸の前に行ったらそこに座っていた。
そこでは私が近づいても動じることはなく、普段の堂々とした態度に戻っていた。
その姿は、野良猫からこの家に面倒を見てもらっている「まちねこ」に変身したように見えた。
格子戸の前でカメラを構えながら、「おまえは2つの顔を持つ猫なんだな」と思った。