使われなくなった「残暑」という言葉

きょうの大阪の最高気温は37.4度で、今月14日から6日連続の「猛暑日」となった。

テレビのニュース番組を見ても、猛暑が新型コロナウイルス感染拡大を抑えて、トップニュースになることが多い。

 

そんな猛暑のニュースを見て、「あれっ?」と思うことがある。

それは「残暑」という言葉がほとんど使われないことだ。

私がその昔、ふるさと岡山のテレビ局で報道部門に配属されたとき、「立秋を過ぎたら暦の上では秋だ。『厳しい暑さ』ではなく『厳しい残暑』と言わないといけない」と上司から指導された。

 

伝統的にそういうことになっているのだろうが、違和感があるのも事実だ。

日本の大部分のエリアでは、暑さが本格的になるのは梅雨明けからで、立秋までだと半月ほどしかない。

一方、暑さは8月いっぱい、年によっては9月半ばまで続く。

暑い期間は一般に立秋前より立秋後のほうが長い。

 

おそらく、メディアが「残暑」を使わなくなったのは、日本の暑さが厳しさを増し、警戒を促さなくてはならない状況になったからだろう。

「残暑」といえば「残った暑さ」の意味になり、暑さがピークを過ぎたというイメージになる。

特に高齢の人は「暑さも峠を越えたんだから…」と警戒心が緩みがちになるだろう。

昨今の残暑は「残り物」ではなく「本物」だ。

テレビで「残暑」の言葉が聞かれなくなって、改めて日本の夏の厳しい「暑さ」を感じた。

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きょうの正午すぎ。中崎町の仕事場に近い高層マンションと、ぎらぎらと照りつける太陽。「残暑」なんていうと、この太陽に「この光が『残り物』か」と怒鳴られそうだ