私の行く手を阻む猫

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祠の脇で眠る「主」

きょうは仕事帰りに新世界に寄って、緑に輝く通天閣やにぎわいを取り戻しつつある串カツ店街を撮ろうと思っていた。

しかし、私の行く手を阻むやからがいた。

通天閣の少し北にある「福永大神(ふくながおおかみ)」にいた猫だ。

 

地下鉄の恵美須町駅で電車を降りて、外に出るとまだ明るかった。

暗くなるのを待とうと、とりあえず福永大神に寄った。

猫の姿は表からは見えなかった。

「そう都合よく猫がいるはずはないか」と思いながらあたりを見回すと、祠の後ろにいるキジ白の猫が目に入った。

やがてその猫は祠の脇で居眠りを始めた。

猫の面倒を見ているというおばさんがやって来て、「この猫はここの主(ぬし)でね。去年は6匹も子どもを産んだのよ」と話してくれた。

 

そうこうするうちに、茶白の猫がやって来た。

主の仲間かと思いきや、主は間合いをはかりながら近づき、激しくどう喝して追い払った。

茶白の猫も旗色は悪いながらも、適度な距離を保って境内にいた。

猫のし烈な縄張り争いが、私の目の前で繰り広げられた。

 

そして、帰り際に神社の塀のすぐ外をを見ると、キジ白の猫がいた。

主に似ていた。

去年生んだ子どものうちの1匹なのかもしれない。

 

そんなこんなで時間と労力を費やし、通天閣や串カツ店街に行く気がしなくなった。

きょうは猫の生きざまを見られただけでよしとしよう。

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おばさんが神社に近づくと、主はぱっと目を覚まし、私をちらっと見てから餌をねだりに行った

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主にいじめられた茶白の猫。主との距離を取って、小さな祠の後ろに身を潜めていた。まだ幼さの残る猫で、劣勢は覚悟の上だろう

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もう1匹のキジ白の猫。主より明らかに若い

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福永大神。小さくて目立たない神社ながら、趣があり、参拝する人もそれなりにいる