プロ意識が買わせた「みかんジャム」

中崎町の会社での野菜販売は、開始から約2カ月が経過し、ほぼ順調に推移している。

販売は水曜と土曜の午前11時から午後3時で、私の受け持ちは土曜だ。

当初は「八百屋さんごっこ」のつもりで気楽にやっていたが、そうもいかないときがある。

お客さんは販売している人を「野菜のプロ」と考えて、いろいろと聞いてくる。

ブロッコリーはどれくらい日持ちするの」「葉タマネギはどうやって食べるの」といった具合だ。

正直に言って、野菜についての私の知識は普通の人と変わらないレベルだ。

ちょっと料理上手な奥さんにはとてもかなわない。

当初、お客さんには正直に「わからないんです」と言ったり、適当にごまかしたりしていた。

しかし、それでは通らなくなり、その商品を自腹で買うことが多くなった。

 

例えば、畑の近所の人から販売を委託されている「みかんジャム」。

手作りで450円というけっこうな値段を付けている。

このジャムは興味を示すお客さんがそれなりにいて、「食べてみればわかりますよ」では済まない。

ということで、買って食べてみた。

通常のジャムより柔らかく、甘さ控えめで上品な味だった。

みかんの酸味もほのかに感じられ、混じりけのないジャムだなと感じた。

食べるまでは自信なさげに「けっこういけますよ」なんて言っていたが、食べてからは「値段は高いけど、買って損はないと思いますよ」と言えるようになった。

するとお客さんの反応も変わり、売れ行きも心なしかよくなった。

野菜の販売はボランティアでやっているわけではないので、私もプロといえばプロだ。

ささやかなプロ意識が買わせたみかんジャムだった。

イメージ 1
使いかけの「みかんジャム」。温州みかんを原料に手作りされている。ラベルがシンプルでかわいい。それにしても、小さな瓶で450円はいかにも高いというイメージだ
イメージ 2
パンに塗ったみかんジャム。値段相応かどうかはわからないが、スーパーに置いてあるジャムよりワンランク上の味だといえる