コーヒールンバで「午後のモーニング」

先日、南海電車が事故により運転を見合わせていたとき、阪堺電車の北天下茶屋駅へ行き、ホームと直結している「喫茶コーヒールンバ」を見つけた。
その看板にモーニングサービスを午後1時まで延長と書いてあり、どうしても「それじゃ、モーニングじゃねえよ」と突っ込みを入れたくなって、きょうの昼から出かけた。
 
店に着いたのは午後0時半ごろ、先客が2組いて私のすぐあとにもう1組やって来た。
モーニングサービスのメニューは10種類と豊富だが、サービスの終了間際とあって、そのうちの4種類は売り切れだった。
私は「チーズトースト」を頼んだ。
一番人気はすでに売り切れていた「サンド」だということだった。
 
この店が阪堺電車の駅のホームと直結している経緯をママさんに聞いた。
現在の店がある敷地は、現在の阪堺線が開通した明治44年(1911年)より前から所有者がいて、その土地をおばあさんが買った。
そのため、開通前からの既得権として、ホームに直結する入り口の設置が許されている。
決して阪堺電車に願い出て作ったものではないという。
 
喫茶コーヒールンバ自体は、現在のママさんが昭和55年(1980年)に開いたもので、モーニングサービスは当初、トーストをメインにサンド(サンドイッチ)とドッグ(ホットドッグ)を日替わりで出していた。
お客さんからの要望でそれを5種類に増やし、さらにお客さんのアイデアを取り入れて20年前に10種類にしたのだという。
 
きょうこの店に来たお客さんも素敵だった。
私の前の席に座ったのは、おばあさんとその孫とおぼしき20歳すぎの美しい女性だった。
おばあさんは「ちゃんと食べなあかんで。いい人を早う見つけて、結婚して子どもつくって幸せになりや」と諭し、女性は黙ってうなずきながら聞いていた。
最近の若者なら口答えのひとつもしそうなものだが、女性がおばあさんを大切にしている様子がうかがえた。
私の右隣に座ったのは高齢の夫婦とその娘だった。
ご主人は店に流れるBGMを聞きながら、「竹山(津軽三味線を全国に広めた初代・高橋竹山)は、盲目だったから三味線の音に哀愁が漂い、名人と呼ばれたんや」と言い、そのメロディーを軽く口ずさんでいた。
 
いやはや、こんなところにこんな素敵な店が隠れていようとは。
常連になるには少し手間がかかるが、たまにのぞいて文化の薫りに触れたいものだ。
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天下茶屋の駅と「喫茶コーヒールンバ」の入り口
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ホームと反対側の入り口から店内を見る。右上にホーム側の入り口が見えている。店に入る人はホーム側からのほうが多いが、ホーム側は非常口で、反対側が玄関だそうだ
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これがお目当ての「午後のモーニングサービス」。といってもメニューの内容は朝と何も変わらない
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テーブルごとに異なる植物がコーヒーカップ大の鉢に植えられている。これはコーヒーの木だ。いかにも喫茶店らしい喫茶店という感じがする