降り続く雨の中で、黒猫がどうしているか気になった。
「雨をよけるために、祠の周りにいるんじゃないかな」と思って行ってみたが、その通りだった。
祠の床下でじっとしていた黒猫を見つけた。
幼さが残る猫で、いつもの黒猫ではないと思われた。
暗くなった境内で黒猫に向き合うと、どうしても忍者同士のにらみ合いといった雰囲気になる。
少し前にいつもの猫とにらみ合ったが、きのうは役者が交代し第二幕となった。
床下は暗く、撮るのに非常に苦労する。
猫はじっとしているのだが、なかなかうまくいかない。
そのうちに猫がしびれをきらしたように、どこかへ行ってしまった。
猫にしてみれば、「これだけの時間じっとしてやったんだから、ちゃんと撮れよな」と言いたいところだっただろう。
猫は悠然としていて、私はあたふた、右往左往する。
第二幕は格の違いを見せつけられたようなにらみ合いだった。