きのうの朝、出勤の途中で家の近くにある空き地の脇を通った。
草むらの中に黒いものが見えたので、何だろうと思って近づくと猫だった。
季節が秋から冬へと移り、朝晩はけっこう冷え込むようになったため、草をふとんのようにして寝ているのだろう。
その姿は野生動物だったころの猫が草原で寝ているように見えた。
きのうの朝、出勤の途中で家の近くにある空き地の脇を通った。
草むらの中に黒いものが見えたので、何だろうと思って近づくと猫だった。
季節が秋から冬へと移り、朝晩はけっこう冷え込むようになったため、草をふとんのようにして寝ているのだろう。
その姿は野生動物だったころの猫が草原で寝ているように見えた。
けさ、勤務先のマンションに向かう道で、「あれっ」と思うものを見つけた。
菊の花だ。
小さなアパートの階段の上り口に、色とりどりの菊の花が咲いていた。
菊は日本の秋の風物詩だといっていいが、最近はとんと見かけなくなったような気がする。
せっかくだからと昼休みに行って写真を撮っていたら、近所のおばさんとおぼしき女性が、「きれいな菊でしょう。撮ってあげて」と声を掛けてきた。
「この花を育てているんですか」と聞くと、「私じゃないわよ。このアパートに住んでいる男の人が大切にしているのよ」と言う。
小さなアパートに咲く菊の花。
それを大切に育てる男性。
菊がその男性の趣味の良さを物語っているようで、なんだかすてきな話だなと思った。
私の部屋から地下鉄の動物園前駅へ行く途中に、「こんな建物がまだ残っているんだ」と思うような旅館がある。
その名は「明楽」。
すでに旅館としての営業は終えているようだが、できることなら一晩でもいいから泊まりたいと思うたたずまいだ。
そして、旅館の隣には「てんのじ村記念碑」が立っている。
調べてみると、てんのじ村と呼ばれたこの一角は、かつて長屋が並ぶ街だった。
そこに昭和の初めごろから芸人が住み始め、終戦のころまで多くの芸人でにぎわった。
ミヤコ蝶々、海原お浜・小浜といった全国的な有名芸人も、ここで暮らしたことがあるという。
記念碑の題字は漫才の父と称される秋田實の筆によるものだ。
身近で何気ない場所に驚くような物語がある。
西成の奥深さの一端に触れたような気がした。