けさ、ラジオで天気予報を聞いたところ、近畿地方は大気の状態が不安定で、おとといと同じように午後は雷雨になる可能性があると言っていた。
「よし、きょうはしっかり準備をしていこう」と、機材をそろえ、傘も持参した。
天気予報の通り、午後4時ごろから雨模様の天気になった。
そして、降り始めのころ厚い雲に覆われていた西の空に、雲の切れ間が見えた。
時計を見ると午後5時の10分前、「チャンスはわずかだ」と急いで屋上へ向かった。
とまあ、ここまでの出来事だけなら、わずかなチャンスを生かし、でかしたとなるのだが…。
西の空ばかりに気を取られているうちに、大きなミスをしでかした。
東の空に丸く大きな虹がかかっていたのだ。
それを見て、慌ててレンズを付け替え、屋上の西側から東側へ走った。
しかし、カメラを向けたとき、虹は残骸のようになっていた。
夕日が顔を出したときに1秒でも東の空を見ていたら…、レンズの準備を事前にしていたら…、反省すべき点が次々に頭をよぎったが、後の祭りだ。
チャンスはわずかというなら、夕日より虹の方がはるかにそれに値する。
「逃した魚は大きい」、その言葉が身に染みた。