老兵は死なず…

きのうの夕方、勤務先に近いマンションにいた主

きのうは少し残業をして、普段より30分ほど遅く勤務先のマンションを出た。

日が短くなって、あたりは薄暗くなっていた。

先日、「存命」を確認した主(ぬし)がどうしているか気になって探した。

近くのマンションの敷地を歩き回ったが見つからず、ふと「2階の高さにある広場にいるんじゃないか」と思い、屋外の階段を上った。

その踊り場に主がいた。

 

主は独りぼっちだった。

その姿を見て、「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」という言葉が浮かんだ。

この言葉は、第二次世界大戦後、進駐軍のトップとして日本を支配したダグラス・マッカーサーが退任演説の際に引用したことで知られる。

主は私がその名を付けたように、ちょっと前まで公園を支配していた。

しかし、何があったのかはわからないが、公園を追われ、別の場所で寂しく暮らしている。

その状況は「老兵は死なず…」の言葉がぴったりだと思った。

うとうとし始めた主。私に向けるまなざしは相変わらず厳しいが、近づいても逃げようとはせず、気性が柔らかくなったような気がする

主が階段に移動した。それに合わせるかのように面倒を見てくれている人が来た。主が新たなすみかで穏やかに暮らしているのなら、私の嘆きは的外れだが…