「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく、山ぎはすこしあかりて、むらさきだちたる雲のほそくたなびきたる」
「清少納言のいう風景を撮りたいものだ」と常々思っている。
先日、京都へ行ったときにチャンスがあったが、前日に飲み過ぎて棒に振ってしまった。
けさ6時前に目が覚めて西の空を見たら、清少納言の世界とは真逆ともいえる風景が広がっていた。
「やうやう白くなりゆく」ではなく既にこうこうと明るく、「山ぎは」ではなく鉄塔とビルの際で、雲は「細くたなびきたる」ではなく太くたなびいていた。
それでも私のようながさつな感性の男には、なかなかの風景に映ったが、繊細な感性の清少納言の目にはどう映るのだろう。
「清少納言の意見が聞きたい」と思った。