今夜は満月だということを、昼休みに何気なくネットを見て知った。
月が出る方角を調べると、最近、足繁く通っている高速道の高架下から「あべのハルカス」絡みで狙えそうだとわかった。
天気予報もまずまずだった。
仕事が終わってから真っすぐ家に帰り、機材を整えて再び出かけた。
行ってみると東の空に流れる雲が多かったが、空気が澄んでいて、きれいな満月を拝むことができた。
きのうの仕事帰りに家の近くの路地を通ったら、顔なじみのキジトラの猫がいた。
猫はごみのネットの上で寝ていた。
ネットの両端がフェンスに結び付けられて、まるでハンモックを使って寝ているように見えた。
「今夜の寝床はハンモックか。しゃれているじゃないか」と思った。
けさ、通勤途中で地下鉄の動物園前駅の近くにある木造アパートの脇を通ったら、玄関の前で猫が眠っていた。
きのうから急に気温が下がり、朝日に照らされた場所は暖かくて気持ちがいいんだろう。
普段は私が近づくと逃げてしまう猫も、時々視線をこちらに向けるだけでじっとしていた。
猫の居場所で秋の深まりを感じた。
先週、天神橋筋商店街へ行ったとき、古本屋に立ち寄り、1冊の本を買った。
店を前にして、「今の仕事に就いてから、ほとんど本を読んでいないな。何か買って、通勤の電車の中で読もう」と思った。
店の棚に並ぶ数え切れないほどの本の中から、中国関係の本を探し、『敦煌物語』という本を買った。
定価1800円(税別)が税込みで600円になっていた。
次の日に地下鉄中央線の電車に乗ってページをめくっていると、10ページ目に以前の持ち主の書き込みがあった。
「なんだこりゃ」と思って、少し先までページをめくると、新聞の切り抜きとメモがあった。
学生時代にかなりの数の古本を買ったが、こんなことはなかった。
以前の持ち主が本と真剣に向き合っていたことがうかがえ、本の価値が上がったような気がした。
文章も格調高く、内容も充実していて、味わい深い古本だと思う。
私も真剣に本と向き合わなくては。