うどん店で感じた時の流れ

おととい阪堺電車の神之木駅の近くでチン電を撮ったあと、「粉浜(こはま)商店街」を歩いた。
この商店街は南海電鉄粉浜駅から住吉大社駅まで線路の西側に並行する形で続いている。
ここには何度か行ったことがあったが、いつも夜で、ほとんどの店が閉まっており、「ここもシャッター街か」と思っていた。
ところが、この日は大半の店が営業していて、それなりに人通りもあった。
 
歩いていると、「食堂」といえる小さな飲食店の看板がいくつか目に入った。
時刻は午前10半すぎで昼めしには少し早かったが、腹が減っていた。
「よし、ここはうどんでいこう」と、商店街の中ほどにある「みやこ」という店に入った。
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注文したのは「サービス定食」(580円)。本来はうどんに「かやくご飯」が付いてくるが、私は鶏肉が食べられないので、普通のご飯にしてもらった
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昼間っから酒を飲むのはいかがなものかと思いながらも、「休みの日ぐらいいいだろう」と自分に言い訳をして、「焼酎水割り」(400円)を注文した。モヤシのナムルがいい脇役になっている
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店内はこぢんまりとまとまっている。気取らない雰囲気でくつろげる
 
時間が早かったので、客は私1人しかおらず、店のご主人と話が弾んだ。
私が「ここの麺は手打ちなんですね」と尋ねると、ご主人は「そうなんです。息子がうどん店をやりたいと言い出し、修行してきたものですから。手打ちはやはり喉ごしが違います」と答えた。
そして、この店は50年以上続く衣料品店だったが、息子のためにうどん店に改装し、親子3人でやっていること。
麺が細くてちょっと柔らかいのは、客の多くがお年寄りのため、太くてコシのある麺は好まれないことなどを話してくれた。
さらに、「この商店街はなんとかやっていけていますけど、昔と比べると店の構成がずいぶん変わりましたよ」と感慨深そうに語った。
考えてみれば、このご主人と奥さんも衣料品店を経営していたときは、息子が打つうどんで商売するようになるとは思いもしなかっただろう。
うどんを食べながら時の流れを感じた。
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「みやこ」の店構え。清潔感があり、気軽に入っていける
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「手打ち」を看板にするだけあって、外から見える場所にうどんを打つコーナーがある
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店の前におすすめのメニューが並んでいる。最も目立つ場所にあるのが、私が注文した「サービス定食」だ
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粉浜商店街。時代の荒波にもまれながらも、まだまだ元気だなと感じる