きょう仕事帰りにコンビニに寄って「かにぱん」を買った。
小さな袋にカニの形をしたパンが2個入っているという、ただそれだけのパンだ。
私はこのかにぱんを見ると、若き日の自分を思い出す。
大学時代、私は山岳部に所属し、岩登り(ロッククライミング)に精を出していた。
そして、少しでも技術を高めようと、埼玉県日高町(現在の日高市)にある「日和田山(ひわださん)」の小さな岩場に1人で通っていた。
その途中に高麗川が流れ、そこに架かる橋のたもとに昔ながらの小さな店があった。
そこを通るたびに買っていたのがかにぱんだった。
ほかの店で見たことがなく、限られたエリアだけで売られているパンだと思い、私は「日和田名物かにぱん」と呼んでいた。
そんなかにぱんを中国から日本に移り住んでからコンビニで見かけた。
どうもたいていのコンビニで売っているようだ。
もう食べることができないかもしれないと思っていたかにぱんは、意外な人気商品なのかもしれない。
かにぱんを食べるとあの店を思い出し、若き日を思い出す。
あの店はもうなくなっているかもしれないし、あったとしても新しくなっているだろう。
私も年を取って若き日の面影は薄れた。
しかし、かにぱんはあのころと変わらない味で今も売られている。
私もあのころの情熱を忘れずに生きていきたいものだ。
「かにぱん」。昔とほとんど変わらないパッケージだ
やはり「カニ」は脚と胴体を切り離して食べるべきだ。こうすると食べやすいサイズになり、上品に食べることができる