しょうゆの恐るべきパワー その3

しゅうゆの恐るべきパワーといえば、私には忘れられない料理がある。
私は大学卒業後、郷里の岡山県に戻り、サラリーマン生活を送っていた。
瀬戸内海の向こうには香川県があり、仕事での関係も深かった。
香川の食といえば、なんといっても「うどん」だ。
私は「うどん、うどんというけど、たかがうどんだろう」とずっと思っていた。
しかし、その思いが覆される日がやって来た。
出張で上司とともに香川県内を移動していたとき、ちょうど昼になり、上司に「うどんでも食ってくか。おごってやるよ」と言われ、ある有名店に入った。
その上司は高松市出身で、うどんにはひとかたならぬ思い入れがあった。
店に入ると「しょうゆうどん食ったことあるか。ないなら、ここで食ってけよ」と言われ、渋々注文した。
なにせ、うどんにしょうゆをかけ、大根おろしなどの薬味を載せただけのものなのだ。
ところが…
そんな単純なうどんが実にうまかった。
しょうゆがしっかりとしたコシのあるうどんを包み込んで、絶妙なコンビネーションを見せていた。
うどん自体の味を純粋に求めるなら、この料理に勝るものはないだろう。
それ以降、香川のうどん店で頼むのは決まってしょうゆうどんになった。
残念ながら、香川以外の店ではその真髄に触れることはできない。
イメージ 1
南海電鉄天下茶屋駅にある「つるまる饂飩」の「生醤油うどん」。レシートを見ると、「しょうゆ90円」と書いてある。コロッケと同じ値段だ。味はまずまずなのだが、しょうゆに90円も出す気にはなれず、注文するのは年に数回程度だ
イメージ 2
きょう、思い立ってしょうゆうどんを作ってみた。私の自宅の近くにあるスーパー「サンディ」では、うどんが119円だ。それに花かつおを載せ、しょうゆをかける。ガス、水道の料金を含めても150円に届かないだろう。それなのに、これが意外にうまい