特急サザン指定席の「借りてきた猫」

数日前、中国の友人から中国語の翻訳の依頼があった。
けっこう割のいい仕事なのだが、その分だけ締め切りまでの日数が短く、内容も濃かった。
ここ数日はその仕事に追われた。
そして、きょうが締め切りだ。
時間が少しでもほしい状況で、昼間の仕事の帰りに、初めて南海本線の「特急サザン」の指定席に乗った。
座って帰りたかったのと、指定席なら電車の中でも翻訳ができると思ったからだ。
特急サザンは和歌山寄りの4両が指定席、難波寄りの4両が自由席で、指定席に乗るには510円の券が必要という「格差列車」だ。
混雑する自由席とがらがらの指定席(満席になることもある)を見ると、少数の富裕層と多くの貧困層という格差社会の縮図だと私は思ってしまう。
天下茶屋午後614分発の指定席車の最後尾4号車に私の指定席があり、その席に座った。
電車に乗ったときから私は落ち着かなかった。
席に着いてもなんだかそわそわして、翻訳どころではなかった。
その理由を考えた。
多分、実質的にただで乗れる電車に金を払ったため、分不相応で場違いだと感じていたのだろう。
25年ほど前に初めて国際線のビジネスクラスに乗ったときと似たような感覚だった。
左の席の若い男性は悠然と足を組んでスマホのゲームに興じていた。
通路を隔てた右側の席には若いOLが座っていて、缶の飲料を飲んでいた。
よく見るとそれは酎ハイだった。
「しょっちゅう使ってますよ」と言わんばかりにリラックスしている2人の間で、私は「借りてきた猫」状態だった。
結局、ゆったりとした席で楽に帰ることはできたが、仕事はまったく進まなかった。
慣れないことはするもんじゃない。
イメージ 1
「特急サザン」。下りの電車では前の4両が指定席車となる、ホームに並んでいるのは後発の「関空急行」を待つ人たちだ
イメージ 2
サザンの車内。ゆったりとしたリクライニングシートは魅力的だ。510円を高いと見るか、安いと見るか
イメージ 3
私が購入した指定席券。車内での検札はなく、駅の改札でもチェックしないので、ただ乗りしようと思えばできなくはないと思うが…