「ヒム」と呼んでね

私が「タント」と呼んでいた猫

きのうの仕事帰り、中村食堂を出て、家の近くの路地を歩いていたら、私が「タント」と呼んでいる猫がいるのが見えた。

トタンの壁の前にいることが多いので、トタンの3つの文字を並べ替えて「タント」と名付けた。

タントの姿を見て、「会いたかったよ」と思った。

 

かなり前にこの路地を通ったとき、タントとその飼い主のおばあさんがいて、あいさつのついでにおばあさんに話しかけた。

「この猫は何という名前なんですか」

「『ヒム』っていうんです」

「ヒムですか…」

「この猫は首輪をつけているでしょう。首にひもだからヒムなんです」

確かに「ヒム」と聞こえたが、ひもとヒムではつながらない。

それでも飼い主が付けた名前なんだから尊重しなくちゃと思った。

「ヒム」と呼んでねという雰囲気の写真を撮ろうと、毎日の行き帰りにこの路地を歩いていた。

それがようやくきのう実を結び、ヒムの襲名披露をすることができた。

ヒムは飼い猫なのにというか、飼い猫だからというか、警戒心が強く、きのうもずっときょろきょろしていた