きのうの仕事帰りに、地下鉄の長田駅までの道を歩きながらシジミチョウを探した。
そのとき、虫に食われて無残な姿をさらしている葉を見つけた。
緑の葉は柔らかい部分から食べられ、筋を残して、骸骨のようになっていた。
よく見ると数匹のコガネムシが、葉の上にうごめいていた。
それぞれのコガネムシの動きはわずかなものだったが、それを積み重ねて葉を無残な姿にしたと思われた。
その様子を見て、童謡『黄金虫』をもじって、「コガネムシは大食いだ。緑の葉っぱは骸骨に」という歌が頭に浮かんだ。
私がコガネムシを撮っているとき、一人のおじさんが「葉っぱがズタズタやね」と声を掛けてきた。
私は「ほらここにコガネムシがいるでしょう。たぶんこいつらの仕業ですよ」と答えた。
すると、おじさんは「虫が食べられるってことは人間だって」と言いながら、やにわに緑が残っている葉をちぎり、口の中に放り込んで、むしゃむしゃと食べ、長田駅方面に向かってすたすたと歩き出した。
私はあっけにとられてそれを見ていた。
いやはやワイルドな人がいるものだ。