おとといの夜、四天王寺で桜を撮ったあと、家まで歩いて帰った。
その途中、JR天王寺駅前に差しかかったとき、細い通りの両側に飲食店が立ちに並んでいるのが見えた。
家から歩いて10分ほどの場所だ。
「こんな近くにこんな飲み屋街が」と思い、通りを歩いた。
腹ペコで、軽く一杯やりたいとも思っていた。
通りの一角にある店で立ち止まった。
入り口の脇に定食のメニューが貼ってあり、食堂のようだった。
一人だと居酒屋より食堂の方が入りやすい。
「いい店を見つけた」と入り口を開けた。
しかし…。
店に入るなり若い女性の店員に「すみません。きょうはもう終わりなんです」と言われた。
聞けば9時半ラストオーダー、10時閉店とのこと。
時計を見ると9時40分だった。
「タッチの差でアウトか」と仕方なく店を出た。
そして、きのうの仕事帰りに真っすぐ店に向かった。
店の奥にいた女性と少し話をした。
私より10歳くらい年配のおかみさんだった。
私が「この店は長いんですか」と聞くと、おかみさんはとうとうと話してくれた。
「この店を開店して50年以上になります。その前はお菓子問屋でね。そのころこの一角はお菓子問屋街だったんですよ。それが一斉に飲食店に衣替えしましてね。1軒だけ残っていたお菓子問屋も数年前に閉店しました」
そして私に「きのうも来てくださった方ですよね。きのうはすみませんでした」と言った。
前日に話をしたわけではなく、私の服も違っていたので、気づいてくれるとは思いもしなかった。
今時珍しいアットホームな店で、時々来たいなと思った。