きのうの午後、近江長岡駅で運転再開のめどが立たない列車を待った。
小さな駅で、待合室に暖房はなく、雪まみれになって服が濡れていた私は、木のベンチに座る気になれず、ずっと立っていた。
利用者がいくら困っていても、天候が回復しない限り列車の運行が再開されることはない。
「最悪の場合、ここで夜を過ごし、あすの朝、職場へ直接向かうことになるな」と思っていた。
寒さに震えながら暗い気持ちで待っていたとき、バタバタと音がするので、そちらの方を見たら、駅舎の中を飛ぶ小鳥の姿が目に入った。
よく見ると、職場の近くでも時々見かける小鳥が数羽、餌をついばんでいた。
「かわいそうな人間を慰めてくれているのか。ずっと近くにいてくれよ」と、小鳥との一夜を覚悟した。
結局、親切な若者のおかげで、小鳥とはすぐにお別れすることになったが、雪に閉じ込められた駅で少し心が温まる体験をすることができた。