きょうは月末。
ささやかながら給料が出て、ほんの少しだけ気持ちが大きくなった。
そこで、先週末に行けなかった中村食堂に寄り、普段より多めに飲み食いした。
「これでブログも書ける。これに松乃木大明神の猫が加わればいうことないな」と思いながら、西成の商店街を歩いた。
私と同じように月末で気が大きくなったとおぼしき酔っぱらいのおっちゃんが路上で寝ていた。
若者2人が心配して通報したようで、私の出る幕じゃないと素通りした。
そして松乃木大明神に近い路地に差し掛かったとき…。
そこにも路上で寝ていたおっちゃんがいた。
大丈夫かなと思って、頭のあたりを見ると、血が流れていた。
こりゃいかんと思って、「おっちゃん、大丈夫か」と声を掛けた。
すると「何や。おまえは誰や」と大声で返された。
関わっていちゃもんをつけられたくはないが、かといって放ってはおけない。
10メートルほど離れて見ていた。
数分して「警察に電話したほうがいいかな。でも110番というのもな」と思ったとき、自転車に乗った別のおっちゃんが救急隊員を連れてきた。
商店街で寝ていたおっちゃんを助けに来た隊員だろう。
その隊員はおっちゃんを起こして座らせ、こちらに向かって「私は別の対応があって、少しこの場を離れなくちゃいけません。しばらくこの人を見ていてもらえませんか」と言った。
私は「わかりました」と答えるしかなかった。
それからたぶん5分余り、私はおっちゃんの面倒を見ることになった。
「わし何でここにおるんや」
「そら知らんけど、おっちゃん飲んどんのちゃうか」
「ああ、焼酎2、3杯な」
「おっちゃん倒れて血が出とるで」
「わし血なんか流しとらん」
「手見てみいや。真っ赤やろ」
「ほんまやな。せやけどな、わし帰って寝たいんや」
「あかん、あかん。頭打っとるかもしれへんから、じっとしとかなあかん。もうすぐ助けが来るから」
そんな会話を延々と続けて、おっちゃんをなだめながら救急隊の到着を待った。
やがて3人の救急隊員がやって来て、おっちゃんの顔にばんそうこうを貼りまくり、ストレッチャーに乗せて運んでいった。
おっちゃんが運ばれていくのを見送りながら、「やっぱりここは西成だ」と思った。