1カ月ほど前、西成の航空写真を見ていたとき、飛田新地の近くに斜めに細長く延びる区画があるのに気付いた。
以前、南海天王寺支線を撮り歩いた経験から、これも線路の跡に違いないと思った。
同時に今池駅の付近から「南海平野線」という路線が分岐していたことも思い出した。
南海平野線は今から100年余り前の1914年の開業だ。
当時の南海阪堺線(現在の阪堺電気軌道阪堺線)の今池駅で分岐し、平野駅までの5.9キロを結んでいた。
1980年に現在の大阪メトロ谷町線が天王寺駅から先へ延長となり、平野線はその役割を終え、66年の歴史に幕を下ろして廃線となった。
航空写真を見てすぐに「ようし、平野線の痕跡を訪ねようじゃないか」と思ったものの、近いだけにいつでも行けるという気持ちがあり、なかなか足が向かなかった。
数日前、朝焼けを撮ろうとして空振りに終わり、「これは天が平野線を撮りに行けと命じているんだな」と勝手に思い込み行ってみた。