東大阪市役所の北にある公園では、桜が花のピークから下り坂を迎えようとしている。
桜の季節のこの公園でどうしても撮りたい写真があった。
花盛りの桜の木に登った猫だ。
望みをかなえてくれるのは、私が「又三郎」と呼んでいる猫しかなかった。
この1週間ほど、仕事帰りに必ず寄って又三郎を探しているのだが、その姿はなかった。
懲りずにきょうも寄ったら、又三郎が桜の木に近い草むらで眠っていた。
「この機を逃すと、今年は撮れないだろう」と思い、近くの植え込みの脇に座って待った。
30分ほどすると、辺りを犬が散歩するようになって、落ち着いて眠れなくなった又三郎が動き出し桜の木に登った。
その姿はまるで桜の花に埋もれているかのようだった。