ついさっき、家の外に出たら、私の脚に何かがぶつかった。
羽音がしたので、虫であることはすぐにわかった。
よく見ると、その虫はこの季節の主役であるクマゼミで、そのまま階段に落ちて、苦しそうにうごめいていた。
死を目前にしているのは一目瞭然だった。
写真を撮らせてもらい、しばらく見ていたが、徐々に動きが鈍くなっていった。
さすがに絶命するのを見るのは忍びず、近くの家の裏庭にある草の上に移してやった。
草の上でじっとしているクマゼミを見て、「お疲れさま。天寿を全うできて、君は幸せなんだよね」と声を掛けてやりたくなった。