きのうの昼休み、いつものスーパーでめしを食う前に、中崎町の商店街にある小さな薬局に寄った。
目的は「マスク」を買うことだった。
店は中年の女性が1人でやっている。
「すいません。マスクはないですよね」
「ええ、そうなんです。申し訳ありません」
「薬局の人は悪くないですよ。いつ入荷するかもわからないんでしょう」
「そうなんです。問屋に問い合わせたら、マスクだけなく、ガーゼもほとんど入らないと言っていました」
私は通常だと、この超品薄状態のマスクを買いたいとは思わない。
しかし、きょう(14日)の午後、ちょっとした用があって、大阪市内の個人経営の病院へ行き、医師に会わなければならない。
で、関係者から「可能な限りマスクを着用してほしい」と言われ、探さざるを得なくなった。
そんな事情を店の女性に話した。
すると、その女性が「ちょっと待ってくださいよ」と店の奥に行って、1枚のマスクを袋に入れて持ってきた。
「私は花粉症で、これは私個人のマスクです。お客さんの事情はよくわかりましたので、よかったら使ってください」とマスクを差し出した。
驚いた。
世の中には親切な人がいるもんだと思った。
久しぶりに胸が熱くなった。
世界で猛威を振るう新型コロナウイルスが、私に貴重な体験をさせてくれた。