神さまへのお供え物を「神饌(しんせん)」という。
きのう神饌になった黒猫を目撃した。
きのうの仕事帰りに、2日連続で大阪天満宮へ行った。
いつもの祠のあたりで、2匹の黒猫を見かけ、追いかけたが見失った。
「どこに行ったんだ」と祠に目をやると、1匹の黒猫がお供え物の台に乗っていた。
「おいおい、なんと罰当たりな。というより、おまえは神さまに捧げられたのか」と思いながらカメラを向けた。
しばらくすると、黒猫はふっといなくなり、祠の柵から出てきた。
どこに行くのかと見ていると、神社の建物の脇に置いてある私のカメラバッグに近寄り、その上に乗った。
そして、時に目を閉じてうとうとと眠り、時に目をぱっと見開いて周囲を警戒した。
バッグの上は地面よりかなり暖かいのだろう。
「おいおい、それはおいちゃんの大切なものなんだけどなあ」と思いながら、再びカメラを向けた。
神さまに捧げられた黒猫さまには、15分ほどバッグの上でおくつろぎいただいて、どいていただいた。
意外なことに、その後は私が近づける距離が縮まったような気がした。
「一宿一飯」の一宿の恩義を感じたのか、それともバッグに残った私の匂いをかぎ分けたのか、いずれにしてもこの黒猫への親近感がぐっと増した。