「隈取り」の猫

f:id:sanchan60:20200219052558j:plain

隈取りのような顔の猫

私が勤めている中崎町の会社の近くに、印象的な顔をした猫がいる。

その顔は歌舞伎役者の化粧である「隈取り(くまどり)」を思わせる。

私はその猫を「クマ」と呼んでいる。

 

私は出勤日の昼休みに会社の周辺をひと回りして猫を探す。

最もよく見かけるのがクマだ。

昼の12時ちょっとすぎに私が通りかかると、クマはたいてい餌を食べている。

食べ終わると近くで少しくつろぎ、場合によっては近くの公園で用を足す。

最後は少し離れた古いアパートに入って姿を消す。

時間はまるで腕時計をしているかのように正確だ。

時々、「あんたの昼休みの予定に合わせてやってるんだよ。めしを食う時間も必要だろ」と言われているような気がする。

 

ところが、クマの姿を最近見ていない。

1週間ほど前に見たとき、少し痩せてやつれているように見え、「大丈夫か」と声を掛けた。

クマはどうしているのだろう。

f:id:sanchan60:20200219052638j:plain

食品を入れる発泡スチロールの箱の上で日なたぼっこをするクマ。箱の中にはクマのために水が入っている。ふたが折れ曲がっていて、落ちるんじゃないかと心配だった

f:id:sanchan60:20200219052720j:plain

ある日、箱を見たらふたが激しく折れ曲がっていた。クマが水の中に落ちたのかもしれない。その後、クマは近くのバケツの水を飲むようになった

f:id:sanchan60:20200219052748j:plain

茶店の入り口の前に座るクマ。店の中をしきりに見ていたが、入ることはなかった。やってはいけないことを心得ているのだろう

f:id:sanchan60:20200219052820j:plain

家と家の隙間を散歩するクマ。食後の運動だ

f:id:sanchan60:20200219052841j:plain

古いアパートに入っていくクマ。アパートのどこで何をしているのかはわからない