きのう、西成の「中村食堂」に寄ったあと、野良猫のたまり場になっている公園へ行った。
餌を与えている人が帰ったばかりのようで、数匹の猫がいた。
その中に、前日も見かけた小柄な黒猫がいた。
首に鈴がついていたのではっきりとはしなかったが、以前、2匹の子猫の物語を聞いた猫だと思われた。
しかし、もう1匹のトラ模様の猫はいなかった。
黒猫は確実に成長していた。
この界隈で最も大柄な猫が近づいたとき、私は「けんかしても勝てる相手じゃない。早く逃げろ」と声を出した。
ところが、黒猫は「ハァー」と喉を鳴らして威嚇し、大柄な猫は尻尾を巻いて逃げ去った。
「なかなかやるな。たくましく生きているんだな」と感心した。
そうこうするうちに、公園に隣接したアパートからおじさんが出てきて、「クロ、クロ、何しとるんや」と呼んだ。
黒猫はクロという名前をつけてもらい、アパートの住人にかわいがられているようだ。
そのおじさんが2匹の子猫についてこんな話を聞かせてくれた。
「2匹のうちのもう1匹は、少し前に誰かが家で飼ってくれることになって、連れて行かれたんや。この黒猫も、老夫婦が飼うことになっとって、来月にはおらんようになる。寂しゅうなるけど、仕方ないわな。野良猫として生きるのは楽やない。飼い猫としての暮らしに慣れるか心配やけど、幸せになってほしいな」
私も黒猫が老夫婦と幸せに暮らすことを願う。