きのうも1時間ほど早く仕事を切り上げ、新今宮駅に近い中華料理店に寄った。
以前から気になっていた店だ。
店に入ってすぐに経営者が中国人であることがわかった。
で、最初に頼んだのは、中華料理と関係のない「トリスハイボール」(380円)だった。
サントリーの「トリスウイスキー」には学生時代の思い出がある。
大学の低学年のころ、私はそれほどの酒好きでもなければ、酒が強かったわけでもなかった。
そんな私を「酒飲み」にしたのは、このウイスキーだった。
当時は酒税法改正の前で、一般にウイスキーは高級な酒だと認識されていた。
その中で最も安かったのがトリスで、1920ミリリットル入りのボトルだと1ミリリットル1円しなかった。
当時、私は1カ月の家賃が1万2000円という安アパートに住んでおり、近くに住んでいた友人と毎晩のようにトリスを酌み交わした。
アパートに住んでいた人の多くは普通の社会人で、怠惰な大学生とは生活のリズムが違い、深夜に「うるせーぞ。さっさと寝ろ」と何度も怒鳴られた。
客が多く中国人女性が忙しく立ち働く店内で、トリスを飲みながら昔を思い出し、遠い目をしてしまった