おとといのJR和歌山線の旅で下車した「名手駅」では、周辺の散策のほかに楽しみがあった。
それは駅の周辺の食堂で昼めしを食べることだった。
この日の朝めし用にと前日買ったパンを持参し忘れ、腹ペコの状態で歩き回ったので、昼めしへの思いはいっそう募った。
しかし、旧本陣のある駅の北側の街では食堂を見つけることができず、駅の近くまで戻ったとき、線路の南側にも街が続いていることがわかり、「めし、めし。どこかで食わせてくれよ」と思いながら歩いた。
駅に着いたときに抱いていた「地元の名物料理を」という思いはうせ、何でもいいから腹に入れたかった。
やがて幹線道路に出て、あたりを見回すと道路脇にある中華料理店の看板が目に入った。
その店に着いたのは、午前10時半ちょっと前。
のれんがかかっていない入り口を不安を感じながら入り、「やってますか」と聞くと、「いま開けようと思っていたところです。どうぞ」という答えが返ってきた。
「いや~、助かった」と、テーブルについた。
この店「ますや飯店」は明らかに中華の店だが、作り置きのおかずがガラスケースにずらっと並び、「これをつまみに酒を飲んでくれ」と言われているような気がした。
店を切り盛りしているのは、私より少し年配と思われるおばさんで、その女性が作った料理であることは明らかだった。
「ようし、腹ペコだけど、なにはともあれこのおかずで一杯だ」と酒とともにおかずを2品注文した。
これが驚くほどうまく、「ここはおかずがうまい中華の店だな」と感心した。